ver 3.4.x (2025年8月)
はじめに
「ASIBA+」は建設現場で使用する枠組足場の数量と重量を
高精度で算出する Web アプリケーションです。日建リース工業株式会社の資材重量基準に基づき、見積書や請求書の作成までワンストップで行えるのが特徴です。最新バージョンでは計算ロジックを強化し、材料費内訳シートや請求書の出力機能が追加されています。
使用前の準備
現場名・メモ・工期の入力
計算を始める前に、現場名・メモ・工期を入力します。現場名は出力ファイル名に反映され、メモ欄は資材受け渡し時のメモや現場の注意事項など自由に記録できます。
工期はテキスト入力またはカレンダーから選択し、見積書や請求書に記録されます。
顧客情報の登録
設定パネルの「顧客情報」セクションでは、取引先を最大30件まで登録できます。登録済みの顧客はドロップダウンから選択し、同じ名前で保存しようとすると上書き確認のダイアログが表示されます。選択中の顧客を削除するときは「削除」ボタンをクリックします。
請求書を発行する際には、顧客情報が請求書の宛名や住所に自動で反映されます。
主な機能と操作手順
足場の基本構成を設定する
「足場のタイプ」ドロップダウンでは、次の4パターンから組み立て内容を選択します。パターンごとに最上段の処理やブレスの扱いが異なります。
- 地組 + 嵩上げ(最上段・枠ブレス) – 標準的な組み合わせ。最上段に枠ブレスを設置します。
- 地組 + 嵩上げ(最上段・手摺棒) – 最上段は手摺棒で横桟を設置するパターンです。
- 嵩上げ(下部足場・最上段アンチなし) – 既存の下部足場に嵩上げする際、最上段にアンチを敷板しない場合に選択します。
- 嵩上げ(下部足場・最上段アンチあり) – 嵩上げのみで、最上段にアンチ(作業床)を設置する場合に選択します。
足場幅は 600 mm / 900 mm / 1200 mm から選択できます。幅が狭いほど設置可能なスペースは小さくなりますが、狭小地対応や壁際作業に適しています。
自動割り付けでサイズを入力
組立範囲の長さと高さ(mm)を入力すると、アプリが自動的に必要なスパン数や段数を割り出して最適な割り付けを行います。計算ロジックにより端数は最も近い標準部材長さに丸められます。
スパン数・段数を手動設定
自動割り付けの結果を微調整したい場合は、手動設定の入力欄に直接数値を入力できます。ここで設定したスパン数と段数は計算に反映され、枠数・ブレス数のほか、アンチや階段の数量も再計算されます。
階段・ブラケット・養生などのオプション
足場計算では、以下の付属部材はドロップダウンメニューや数値入力で設定します。階段の段数やブラケット幅、養生の種類や数量を指定して利用してください。チェックボックスではなく、適切な選択項目や入力欄で設定します。
- 階段 – 階段ユニットの有無や段数をドロップダウンで選択します。複数段の階段も自動計算されます。
- ブラケット足場 – 外側にブラケットを追加する際の幅や数量を入力します。
- 外部養生 – メッシュシートや垂直ネットなど、養生の種類と数量を指定します。
- 巾木・下さん – 巾木の有無や下さん(水平材)の本数を設定します。
これらの設定を変更すると材料数と費用が再計算されます。
サマリー・設定・計算ボタン
画面下部には複数のボタンがあります。操作結果がどうなるかを理解するために、以下に主なボタンの役割をまとめます。
- 計算 – 入力内容に基づいて材料数量・重量・費用を算出し、結果テーブルに表示します。計算後に各種ダウンロードが可能になります。
- サマリー – 現在の入力値を一覧で確認できるパネルを開閉します。サマリーとは入力内容や計算結果の概要をまとめたもので、条件を見直したい場合に便利です。
- 設定 – 設定パネルを開閉します。自社情報や単価設定、出力オプションなど細かな設定を行います。
- 材料数ダウンロード – 計算結果の材料数量を Excel または CSV 形式でダウンロードします。
- 見積書ダウンロード – 見積書や関連シートを Excel 形式でダウンロードします。
設定パネル
設定パネルではアプリ全体の挙動を細かく制御できます。設定項目は縦に並んでおり、必要な部分までスクロールして編集する構成です。
自社情報・請求書情報
会社名、住所、電話番号、FAX、担当者名、E-mailのほか、インボイス制度対応の登録番号も入力します。入力した担当者名やインボイス登録番号は見積書・請求書に記載されます。銀行口座や請求日もここで設定できます。
見積書・請求書ナンバー設定
「見積書ナンバーを表示」「請求書ナンバーを表示」のチェックボックスをオンにすると、出力ファイルに連番を付けられます。
番号リセットボタンを押すとカウンターが 1 に戻り、次の出力から番号が振り直されます。
運搬費・材料費・労務費単価設定
各費用カテゴリの単価を設定できます。
- 運搬費 – クレーン付きトラックや平型車両など車種ごとの基本単価と日割単価を設定し、搬入のみ(片道)か往復かを選択します。往復を選ぶと自動的に台数と費用が 2 倍になります。
- 材料費 – 見積書に材料費を含めるか選択し、計算方式を平米当たりと個別材料費から選びます。個別材料費モードでは材料ごとに基本単価・日割単価を設定し、詳細な内訳を出力できます。
- 労務費 – 作業内容(枠組足場、階段、巾木、層間養生など)ごとの基本単価と日割単価を設定します。労務費は数量×単価で算出し、日数による掛け算は行いません。
出力カテゴリとシート選択
見積書に含める費用カテゴリをトグルで切り替えられます。例えば運搬費を除外すると、費用結果と見積書から運搬費が削除されます。
さらに、Excel 生成時に含めるシートを選択できます(デフォルトではすべてOFF)。
- 見積書を出力する
- 材料費内訳(見積書用)を出力する
- 請求書を出力する
- 材料費内訳(請求書用)を出力する
シート選択は見積書ダウンロード時に有効です。材料数量シートには適用されません。
設定の保存・リセット
入力した内容やトグルの状態はブラウザのローカルストレージに保存され、ブラウザを閉じても次回起動時に復元されます。
セクションごとの保存ボタンで設定を保存し、リセットボタンでそのセクションを初期状態に戻すことができます。
計算方法
ASIBA+では、ユーザーが入力したデータを基に各部材の数量・重量・費用を自動計算します。ここでは計算の概要を説明します。
材料の数量計算
スパン数・段数・幅などの基本情報と各オプション設定から、必要な部材を算出します。計算される主な部材は次の通りです。
- 足場枠・ジャッキベース
- ブレス(筋交い)
- アンチ(作業床)
- パイプ・クランプ・壁つなぎ
- 階段ユニット
- 巾木・下さん・敷板・ブラケット足場・層間養生
- 外部養生(メッシュシート・垂直ネット)
数量は部材の標準寸法に基づいて整数に切り上げられます。
材料費の計算
材料費は「平米当たり」と「個別材料費」の2方式から選びます。平米当たり方式では足場の全長×全高に単価を掛け算します。個別材料費方式では、設定した各材料の基本単価・日割単価と計算した数量を用いて費用を算出します。
個別材料費モードの場合、見積書のメインシートには材料費合計だけを載せ、材料ごとの内訳は別シートに明細として出力されます。
単価を未入力の場合、その材料の費用は 0 円として計算されます。
労務費と法定福利費
労務費は作業種ごとに設定した単価に数量を掛けて求めます。日数は掛けないため、工期が変わっても金額は一定です。法定福利費は設定した率を労務費に乗じて計算します。運搬費を含めるかどうかはオプションで選択でき、15% とする場合は 0.15
と入力します。
運搬費の計算
運搬費単価は車種ごとに設定され、車両の基本単価と日割単価を用いて (基本単価 + 日割単価 × 日数) × 台数 で計算します。往復便を選んだ場合は結果が自動的に 2 倍になります。
ダウンロードと出力
出力するシートの選択
見積書ダウンロードボタンでは、以下のシートを含めるか選択できます。必要なシートのみ出力することでファイルをシンプルにできます。
- 見積書 – 見積金額の合計や摘要が記載されたメインシート。
- 材料費内訳(見積書用) – 個別材料費モード時に各材料の数量・単価・金額を記載したシート。
- 請求書 – 顧客名や請求金額、振込先などを記載した請求書シート。
- 材料費内訳(請求書用) – 請求書に対応した材料費内訳シート。
これらはすべてExcel形式(.xlsx)で出力されます。チェックボックスで選択し、必要ないシートのチェックを外せば、出力ファイルからそのシートが除外されます。
出力形式とダウンロード手順
計算結果は以下の形式でダウンロードできます。材料数量のダウンロードでは形式を選択できます。
- 材料数量 (材料数) ダウンロード – 計算結果の材料一覧をExcel (.xlsx)またはCSV (.csv)形式で保存します。CSVは軽量で表計算ソフト以外でも扱えます。
- 見積書・請求書・内訳シート ダウンロード – 選択したシートをまとめてExcel (.xlsx)で出力します。
ダウンロードの手順:
- 入力内容を確認し、計算ボタンを押して結果を生成します。
- 結果テーブルを確認した後、材料数ダウンロードまたは見積書ダウンロードボタンをクリックします。
- 材料数ダウンロードではExcel/CSVの選択ダイアログが表示されます。希望の形式をクリックするとファイルが生成されます。
- 見積書ダウンロードでは予め設定パネルで選択したシートが Excel ファイルに含まれます。
ダウンロードしたExcelファイルからPDFを作る方法
材料費内訳シートや請求書を提出する際、PDF形式で提出したい場合があります。ExcelでダウンロードしたファイルをPDFに変換する手順は次のとおりです。
- ダウンロードした
.xlsx
ファイルをExcel(または互換ソフト)で開きます。 - 印刷設定で用紙サイズや向きを調整し、必要に応じて印刷範囲を設定します。
- ファイルメニューから「名前を付けて保存」または「エクスポート」を選択し、ファイル形式に PDF を選択します。
- 保存先を指定して「保存」をクリックするとPDFが出力されます。
この方法を使えば、材料費内訳シートをPDF化して帳票として送付できます。CSV形式でダウンロードした場合は、一度Excelに読み込んでからPDFとして保存してください。
トラブルシューティング
計算結果が表示されない
入力項目に誤りがある場合、結果が0や空欄になることがあります。長さや高さに数字以外の文字が混じっていないか、必須項目が入力されているかを確認してください。また、数字を全角で入力していると正しく認識されないことがあるため、半角数字で入力してください。
ダウンロードできない/ファイルが開けない
ブラウザの設定によりダウンロードがブロックされている場合があります。ポップアップブロックやファイル保存設定を確認してください。また、初回ダウンロード時にファイル保存先を確認するダイアログが表示され、「次回以降は表示しない」にチェックを入れるとダイアログが出なくなります。
ダウンロードしたファイルが開けない場合は、対応するソフトウェア(Excel 2010 以降など)をインストールしているか確認し、CSVの場合は文字コードをUTF-8に設定してください。
お問い合わせ
操作方法で不明な点がある場合や不具合を報告したい場合は、株式会社藤羽のお問い合わせページからご連絡ください。
また、操作に関するご質問や新機能のご要望も受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
バージョン情報
本操作説明書はアプリバージョン ver3.4.x に対応しています。アプリの更新に伴い、説明書も随時更新されます。
項目 | 内容 |
---|---|
アプリバージョン | ver3.4.1〜 |
CSS | ver3.4.2-scaffold-calculator.css |
JS | ver3.4.2-scaffold-calculator.js |
材料重量 | material-weights.js(日建リース工業)準拠 |