DIYをする前に【鳶職が教える】番線の正しい締め方:写真と動画付き完全ガイド
物を緊結するのに活躍する番線の基本的な知識
番線とは何か?
番線は主に建設現場で使用される、鉄製の細い線のことです。その柔軟性と強度から、様々な用途で活用されています。
番線の主な用途
建設現場の足場板の固定や建設資材の結束、仮設倉庫の下地の結束などの建設現場での使用。そのほかの用途としては、園芸での植物の支柱としての利用、日曜大工での小物製作など、多岐にわたります。
番線の種類と特徴
はこ番線と巻き番線の違い
番線は大きく分けると、「はこ番線」と「巻き番線」の2種類に分類されます。はこ番線は、事前に決められた長さにカットされていて、主に丸太足場の緊結に適しており、巻き番線は好きな長さにすることができ、用途に応じた加工がしやすく建設現場で主に利用されています。
各種番線の用途と選び方
使用目的に応じて適切な番線を選ぶことが重要です。例えば、足場の固定には強度が12#と10#の番線が適しています。
番線の基本的な締め方
正しい番線の巻き方の手順
- 番線を巻きつける対象物に対して必要な長さの番線を切り出す(必要な長さとは、対象物を1周させて余りを40センチほど残しておく※最低でも10センチ以上残す)。
- 締め付ける場所を決めてから対象物に番線を巻き付ける(対象物の角を締め付ける場所にすることで、仕上がりが緩まなくなります)。
- 巻きつける際に、余りの番線の長さが左右対称になるように調整をする(調整時に裏表で緩みがないかを確認しながら行う)。
- ある程度緩みが少なくなったら、番線を締め付ける場所で180°番線を交差させる(右手でシノを使う際は時計回りに回し、左手の場合は反時計回りに回す)。注意・逆回転に交差させると、締め付け時に緩んでしまい仕上がりが汚くなる。


番線を確実に締める際のコツ(写真付きで解説)
- 番線が交差している根元にシノを当てる(自分から見て、交差させた裏手に横向きにしたシノを当てる)。
- シノを持つ反対の手で余りの番線を持ち、シノ(先から3センチ程度の場所)に巻きつける(2本同時に巻き付けても良いが、1本づつ巻きつける事で仕上がりが綺麗になる)。
- 下記の写真のように、シノに巻いた余りの番線は、対象物に巻きつけた下側の番線に添えるように押さえておく(シノで締め付けていく際に、番線に巻き込ませる必要があるため)。


4. シノを手前側に180°回す(余りの番線と直角方向に回すことを意識する)。


5. シノを番線から抜き、奥側から差し込む。

6. シノを寝かせたまま180°回す。
7. そのままシノを45°下手前に回す(この時3.で押さえた側(写真の下側の番線)の番線が張ることを意識する)。
8. シノを番線から抜き、奥側から差し込む。
4.〜8.を繰り返し、シノを回す際に若干の重さを感じたら、番線が斜めになっていないか、たるんでいる場所がないかを確認する(上記の箇所がある場合はシノで叩いて修正をする)。
番線の応用:足場工事での使用法
DIYで役に立つ番線締めの基本
作業用足場の安全性を確保するためには、番線の締め方が非常に重要です。様々な締め方の中から、状況に応じた締め方を選択することで作業者の安全が保障されます。正しい締め方をマスターしましょう。
足場板の固定方法
足場板に対して斜めから番線を差し込み、上下にくぐらせて締める方法が一般的です。
家庭での番線の利用方法
日曜大工での活用例
家具や小物作りに番線を利用することで、独創的なDIYプロジェクトが可能です。例えば、ガーデンオーナメントやワイヤークラフトなどがあります。
園芸での利用方法
園芸では、番線を使って植物の支柱やトレリスを作ることができます。番線を使うことで、植物の成長を助け、美しい庭を作ることが可能です。
安全に作業を完結するために下記のことを理解しよう
番線の強度を理解する
緊結作業時に番線に必要以上の負荷がかかったことで、番線が切断して思いがけない災害が起きないようにするためにも、以下の番線の種類ごとの強度を記した表を参考にして使用用途に合った番線の種類を選択して下さい。
番手 | 公称径 (mm) | 線径 (mm) | 断面積 (mm²) | 引張強度 (n/mm²) | 引張荷重 (N) |
---|---|---|---|---|---|
#8 | 4.0 | 4.01 | 12.63 | 318 | 4020 |
4.00 | 12.57 | 318 | 4000 | ||
3.99 | 12.51 | 315 | 3940 | ||
#10 | 3.2 | 3.19 | 7.99 | 293 | 2340 |
3.18 | 7.94 | 310 | 2460 | ||
3.21 | 8.09 | 316 | 2560 | ||
#12 | 2.6 | 2.58 | 5.23 | 310 | 1620 |
2.64 | 5.47 | 298 | 1630 | ||
2.58 | 5.23 | 304 | 1590 | ||
#14 | 2.0 | 1.98 | 3.08 | 325 | 1000 |
1.98 | 3.08 | 338 | 1040 | ||
1.98 | 3.08 | 312 | 961 |
引張強度 (310 n/mm²) の説明【断面積 5.23 mm² の場合】
まず、引張強度 310 n/mm²とは、
1 mm²(米粒の先端くらいの大きさ)に約30kgの力がかかっても壊れない強さのことです。
では、断面積が5.23 mm²の場合はどうなるか?
面積のイメージ:
断面積 5.23 mm² は、約2.3mm×2.3mmの正方形をイメージしてください。
1 mm²で30kgを支えられる強度が、この5.23 mm²全体ではさらに強くなり、約5.23倍の重さに耐えられる計算になります。
➡ 例えると…
1 mm²あたり 500mlペットボトル60本分の重さを支えられる強度が、5.23 mm²の断面積全体では、
ペットボトル314本分の重さを支えられるイメージです。
引張荷重 (1620 N) の説明【断面積 5.23 mm² の場合】
次に、引張荷重を計算すると、断面積が5.23 mm²のときの引張荷重は1620 Nになります。
1620 Nは約160kgの重さに相当します。
➡ 例えると…
- 成人男性2〜2.5人分の体重(1人あたり60〜80kg程度と仮定)を引っ張っても壊れない強さ
- または小型冷蔵庫の重さを支えても壊れない強さ
#12の強度をまとめると
- 引張強度 310 n/mm²:1 mm²あたり ペットボトル60本分の重さを支えられる強さ
- 引張荷重 1620 N (断面積 5.23 mm²の場合):ペットボトル 約314本分、または成人男性約2人分〜小型冷蔵庫1台分の重さに耐えられる強さ
これで、#12の断面積5.23 mm²の場合の引張強度や引張荷重のイメージが具体的に掴みやすくなったかと思います!
安全な作業方法
番線を締める際は、手袋を着用することが重要です。これにより、手の怪我を防ぐことができます。
必要な工具とその使用方法
番線カッター、シノなどの工具が必要です。それぞれの工具の正しい使用方法を学ぶことで、作業の効率と安全性が向上します。
番線の締め方をマスターしよう
番線の締め方の重要性
正しい番線の締め方を知ることは、多くの建築やDIYプロジェクトで役立ちます。正しい技術を身につけることで、より安全で効果的な作業が可能になります。
練習と経験の価値
番線の締め方は、練習と経験によって向上します。初めは難しく感じるかもしれませんが、繰り返し行うことで上達します。締め付ける理屈をイメージしながら練習をすることで、早く上達できます。